西洋とアジアのテイストが融合したポリネシア料理

August 31, 2021 場所 体験

タヒチの島々(正式名称:フランス領ポリネシア)は、日本から約9,000キロメートル離れた南太平洋の中心に位置する118の島々で構成され、白砂のビーチや色鮮やかなブルーラグーン、手付かずの自然や美しい景観、ポリネシアの人々による心温かいおもてなしなど、世界に類を見ない「自然」と「こと」と「出会い」の魅力がつまったデスティネーションです。今回はタヒチの島々の“食文化”についてご紹介します。

タヒチのフランス料理 - Le Bora Bora by Pearl Resorts

Le Bora Bora by Pearl Resorts © Stéphane Mailion Photography


旅行における重要な要素のひとつに
「食」を挙げる方は多いのではないでしょうか。タヒチの島々はフランス領のため、フランス料理をベースとしながら、アジアと西洋のテイストが融合した食文化が特徴となっています。あまり知られていませんが、タヒチの島々の中国系移民の歴史は古く、現在タヒチ在住の客家はすでに移民3世や4世とされています。フランス料理と並び、彼らの影響はタヒチの島々の食文化を語る上で不可欠な要素の一つです。

加えて豊かな自然に恵まれたタヒチの島々は、南の島ならではの果物や新鮮な海の幸を使ったポリネシア料理が味わえます。豊かな食材に伝統的なポリネシア料理とフランス料理の技法が加わった、フレンチポリネシア料理がタヒチ料理の魅力といえます。

 

新鮮で豊富な食材

タヒチで取れる新鮮で豊富な食材

© Tahiti Tourisme


タヒチは年間を通じて素晴らしい気候に恵まれています。そこで育った新鮮なフルーツや魚介類など、豊かな食材をふんだんに使用しています。

  • ラグーンや外海でとれる魚介類…マグロ、スズキ、マヒマヒ(シイラ)、ブダイ、シュリンプ(モーレア島の名産)など。
  • フルーツ天国といっても過言ではない新鮮な果物…「クイーン・タヒチ」と呼ばれる、芯までおいしく食べられるのが特徴のパイナップル、フェイという絶品のオレンジプランテンバナナをはじめとする何十種類にものぼるバナナ、パンノキ(ウル)やココナッツ、パパイヤ、マンゴー、スイカ、グレープフルーツ、ライム、パッションフルーツやグアバ、など。近年、日本でも免疫力アップをサポートするスーパーフルーツとして話題になったノニもタヒチで採れます。
  • その他…タロ、タルア、ウフィ、ウマラなどの様々な根菜やタヒチ名産の「バニラ」。

タヒチでは魚は生で食されることが多く、ライムの絞り汁やココッツミルクで和えたマリネ料理が知られています。日本人も大好きなマグロはタヒチでも愛されていて、日本人の口に合うこと間違いなし!


素材の味を生かしたヘルシー料理

タヒチは1880年からフランスと深い関わりがあり、現在もフランスの「海外領土」です。タヒチの食文化にはフランスの影響が強く感じられます。「毎朝の焼き立てのパンとバター」のように、基本となる食材がおいしいフランス料理に、タヒチの新鮮な素材を生かしたポリネシア料理。これらが融合したのがフレンチポリネシア料理と言えるタヒチ料理で、『美食文化×豊かな食材』のまさにいいとこ取りなのです。例えば、ポリネシア料理にはもともとは存在していなかった「煮込み料理」もフランス料理の影響とされています。

Memo: タヒチの伝統料理(Mā’a Tahiti)は3つの要素を中心に構成されています。料理のベースとなる野菜(mā’a ,マア)、魚や肉(‘īna’i、イナイ)、ココナッツミルクや海水をベースにしたソース(miti、ミティ)。これらをベースに、西洋やアジアの影響や文化交流によって、多くのレシピが生まれ、時を経て豊かな食文化が生まれました。食は常にタヒチの人々の生活の中心にあります。

タヒチを代表する郷土料理「ポワソン・クリュ」

「ポワソン・クリュ」は、ぶつ切りにした魚のお刺身(マグロが定番)に野菜とココナツミルクを混ぜたものです。

ココナツミルクは甘いものではなく、さっぱりしていて美味です。新鮮なマグロやライム、ココナツミルクが手に入りやすい日本では簡単にご自宅でもお楽しみいただけます。

Tahiti Comes To You with Hinatea COLOMBANI (Arioi Cultural Center)

タヒチを代表する郷土料理「ポワソン・クリュ」

© Stéphane Mailion Photography


「ボンボン・シノワ」

フルーツが豊富なフレンチポリネシアでは、単にフルーツを剥いて切って食べるだけではなく、他にも数々の楽しみ方があります。

その中の一つとして、 ポリネシアの人々は熟れきっていない、甘さの足りないマンゴーを食べる時に、中華のスモモのエキスが含まれた赤くて甘酸っぱい粉をまぶして頂きます。それが「ボンボン・シノア」です。
Tahiti Comes To You with Hinatea BOOSIE (Tahiti Food Tours)

ご家庭で作るのは難しいけれど、

タヒチに行ったら食べてほしい、もうひとつの伝統料理があります。


アヒマア(ahimāa’a)

便利になった現代、フランス領ポリネシア地域の食卓に、伝統的なアヒマア料理が日常的に上ることは少なくなってしまいました。その代わりにポリネシア料理をはじめ、フランス料理や中華料理をうまく取り込んだ品々が食卓を飾ります。しかし現在でもお祝いの席では、必ずといってよいほどポリネシア伝統の大きなアヒマアのかまどが構えられ、その中で調理されたご馳走を囲み、盛大な宴が催されます。

伝統料理であり、タヒチアンダンスショーのビュッフェなどで提供されることが多いメニューがマア・タヒチ。

この調理に使用される「アヒマア」は土に掘られた穴で、深さは1メートルにもなる、伝統的なオーブンを意味します。その穴に、乾いた枝を並べ、ココナッツのわたを敷き詰め、火山石を敷き詰めていきます。火を灯し、石が赤く焼けると、次はバナナの葉で覆います。そしてその上に料理に使用するすべての食材を敷き詰めていきます。食材は子豚、ウル、ウマラ(サツマイモ)、ウフィ(山芋)、タロイモ、魚やエビなどが代表的。並べられた食材をさらにバナナの葉と麻袋で覆い、砂をかぶせて蒸し上げるのが特徴です。

マア・タヒチの調理には4時間から5時間ほどかかり、いざ釜開きの瞬間には、人々はウクレレのリズムに合わせて歌を歌い、踊り、まるで一連の儀式のようです。なおこの料理は指で食べるのが一般的です。

タヒチに訪れた際は、ホテル内のおいしいフレンチ料理もおすすめですが、日本人の口に合う、屋台スタイルの「ルロット」もぜひお試しください。中華料理からステーキ、ガレットまで、予算を抑えながら、ボリュームたっぷりの料理が楽しめます。

Bon appétit !  Tāmā’a maita’i!

© Tahiti Tourisme